<イチロー最多安打>悔しさが挑戦の原点「人に笑われて」
42歳のベテランが新たな勲章を手にした。米大リーグ、マーリンズのイチロー外野手(本名・鈴木一朗)が、パドレス戦の九回に二塁打を放って、ピート・ローズ氏が持つ大リーグ記録の通算4256安打を日米通算で上回った。球場の大型ビジョンで記録更新が紹介され、観衆やチームメートから拍手や歓声を浴びると、イチロー選手は二塁後方に立ち、表情は緩めなかったがヘルメットを脱いで祝福に応えた。
「日米合わせた数字ということで、どうしたってケチがつくのは分かっていた」とイチロー選手。数日前、米メディアが、ローズ氏がイチロー選手の日米通算安打について「日本では私を安打の(キングから)クイーンにしようとしている」と発言したと報道。それをイチロー選手も知っていたようで、「ローズが喜んでくれていたら全然違うんですよ。でもそうじゃないというふうに聞いているので、だから僕も興味がないというか」と語った。
華々しい記録がクローズアップされるイチロー選手だが、「子どもの頃から人に笑われてきたことを常に達成しているという自負がある」と明かす。
小学生の頃、プロ野球選手になる夢を抱き、毎日コツコツ練習を重ねてきたが、周囲からは「あいつ、プロ野球選手になるのか」と笑われたという。
それでも愛知・愛工大名電高で甲子園に出場し、1991年にドラフト4位でオリックスから指名を受けると、94年にプロ野球史上初のシーズン2000安打以上を達成するなど一気にスターの座に駆け上がった。
2001年に大リーグへ移った時は「首位打者になってみたい」と目標を掲げたが、周りで真に受ける人は誰もいなかったと感じた。
そこからメジャー1年目で首位打者を獲得。04年には262安打を放ちシーズン最多安打を84年ぶりに更新と、活躍を続けてきた。
偉大な記録を達成した試合後に、大リーグだけで通算4256安打を超える可能性について問われた。すると「常に人に笑われてきた悔しい歴史が、僕の中にあるので。これからもそれをクリアしていきたいという思いはもちろん、あります」と語った。「50歳で現役」という高いハードルにも挑むことを公言しているイチロー選手。その言葉を、もう笑う者はいない。
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