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高校野球で伝統校が消え、新興勢力が台頭する理由

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 全国高校野球選手権(7日開幕)の出場校が出揃ったが、今回の地方大会は時代の移り変わりを感じさせる出来事があった。
 
  なかでも大きなニュースとなったのが、PL学園が大阪大会を最後に高校野球から姿を消したことだ。
PL学園は日本の野球を語るうえで欠かすことのできない名門校だ。甲子園での優勝回数7(4回、夏3)は中京大中京(愛知)11回に次いで2位タイ。通算勝利96勝は中京大中京、龍谷大平安に次いで3位。また、記録以上に凄いのが、輩出したプロ野球選手の顔ぶれだ。
  古くは加藤秀司、新井宏昌、西田真二、小早川毅彦、吉村禎章、そして桑田真澄、清原和博、立浪和義、野村弘樹、片岡篤史、宮本慎也、今岡誠、現役では松井稼頭央、今江敏晃(東北楽天)、福留孝介(阪神)、前田健太(MLB・ドジャース)らがいる。これでも、ほんの一部。OBだけでも最強のプロ野球チームができるといっていいほど数多くの名選手を育ててきた。
 
  しかし、2009年に夏の甲子園に出場して以降は、大阪桐蔭などが台頭したこともあって大阪大会を勝ち抜けなくなった。そして2013年には部内で起きた暴力が発覚して、6ヵ月の対外試合禁止処分を受ける。これをきっかけに学校側は野球部の強化に力を入れなくなり翌2014年、新入部員の募集を停止。残った3年生部員で出場したのが今年の大阪大会だった。
  最後の試合となったのは2回戦だが、かつての栄光からは考えられない厳しい状況だった。部員は11人で、そのうち2人は前日の練習で負傷しプレー不能に。ギリギリの9人で戦ったのだ。しかも対戦相手は強豪・東大阪大柏原。だが、試合は接戦となり6-7で惜敗。こんな状況でも最後まで勝利を諦めなかったのは、名門の意地だろう。
  私立学校は経営陣の考え方ひとつで経営の方向性が変わる。野球部をはじめ運動部の強化も、その影響を受けることが多く、どんな名門・強豪でも、こうした事態は起こり得る。
今年の地方大会の結果を見ても、強豪がその強さを長年維持することの大変さを感じた。
 
  もちろん今大会の出場校にも強豪の座を守り続けている高校はある。夏の甲子園最多出場記録(37回目)を更新した北海(南北海道)を筆頭に、22回目の東北(宮城)19回目の樟南(鹿児島)18回目の星稜(石川)、智弁学園(奈良)、明徳義塾(高知)17回目の東邦(愛知)16回目の横浜(神奈川)12回目の作新学院(栃木)などだ。
 
  だが、その一方で各都道府県を代表する名門校が新興勢力の台頭もあって地方大会をなかなか勝ち上がれなくなっている。夏の甲子園出場回数3(33)の龍谷大平安(京都)4回戦で敗退。代表となったのは初出場の京都翔英だ。出場回数4(29)でファン注目のスラッガー清宮幸太郎を擁する早稲田実業(西東京)も準々決勝で敗れた。早稲田実業を破って勢いに乗り、初の代表となったのは私立八王子高校。八王子高は90年近い歴史を持ち、学業だけでなくスポーツにも力をいれている高校だ。卒業生には小川直也(柔道・プロレス)、田中雅美(競泳)などがおり、野球部の強化にも力を入れてきたが、早稲田実業や日大三高など強豪の壁に阻まれていた。今回、その壁を破り甲子園に出場する経験は自信につながり、入学を希望する球児も増えるだろう。西東京の強豪になる可能性は高い。
 
  かつての強豪校がなかなか勝てなくなっている県としては広島があげられる。広島といえば広島商業、広陵の名前が浮かぶが、今回代表になったのは出場2回目の私立広島新庄だ。広島新庄は広島商業を率いた名監督・迫田守昭氏を監督に招へいして以降、2年連続で広島大会を勝ち抜いた。
 
  同様の構図にあるのは熊本だ。熊本は古豪の熊本工業、濟々黌に九州学院などが代表の座を競ってきたが、今回大会を勝ち抜いたのは2回目の出場となる私立秀岳館。秀岳館も学校は90年近い歴史を持つが、野球部が強くなったのは最近だ。早稲田大や社会人野球で活躍し、パナソニックの監督も務めた鍛冶舎巧氏を監督に招へいしたことで急激に実力がアップ。強豪を次々と破り代表の座を得た。
  指導力に定評のある人物が監督に就任すると、入学(入部)を希望する有能な選手が集まるし、勝つための合理的な練習をするようになる。それによって予選敗退を続けていた高校がいきなり強くなるケースが最近は目立つ。

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