インバウンド
訪日外国人爆増で、日本がパンク状態…ホテル客室7割が外国人、出張にも支障
訪日外国人（インバウンド）の熱気が、一層高まってきている。
インバウンド急増による国内需給ひっ迫は、これまで化粧品や炊飯ジャーなど土産品が中心だったが、最近では観光バスやホテルといった滞在に欠かせないインフラ関連にまで及んでいる。
商用車大手いすずは、観光バスの受注が前年度比で2～3割増え、三菱ふそうトラック・バスや日野自動車はフル生産を続けているという。中国などからの訪日外国人のツアー客が急増していることが背景にある。
バス需要は数年前にむしろ縮小した局面があった。2012年の関越自動車道における高速ツアーバスの悲惨な事故を受けて、規制が強化されたことが要因。
過労運転の疑いがある運転手の居眠りが原因で、乗客が死傷したため、高速ツアーバスは廃止され、高速乗合バスに集約。ワンマン運転できる距離も上限が設けられた。
これを機にバス業界は淘汰されたという。その直後に降って湧いたのがインバウンド需要であり、需要に供給が追いつかず、中古バスが新車並みの価格で取引されている例もあり、バスは品薄状況が続く。
●旅行・ホテル業界にも異変
中国の旅行会社幹部は「日本に行きたい旅行客は多いのに、バスやホテルが取れない。民宿まであたったが確保できず、この夏は顧客の希望に応えられなかった」と残念がる。この幹部は、リピーターも含め来年はさらに数倍の需要が出そうだとしている。
また、格安チケットのインターネット販売業者は「店舗を持たない我々に、アジアの旅行会社からバスやホテル確保の問い合わせが入った」と驚く。特に大阪近辺ではホテルが枯渇し、ビジネスパーソンの出張に影響が出ているほどだ。
こうしたなか、格安旅行代理店エイチ・アイ・エスの業績が好調だ。同社は格安航空券のパイオニアだが、テーマパークのハウステンボス（長崎）再建に成功している。また、九州が地盤のバス大手の九州産交バス（推定保有台数：500台）を傘下に有している。わかりやすくいうと、格安航空券で来日した外国人を九州産交のバスに乗せ、ハウステンボスに連れて行き、16年10月期に過去最高益を更新した。