<夏の甲子園100年>第1回出場校が記念大会 12月19日から
夏の全国高校野球大会が今夏100年を迎えたのを機に、第1回大会(1915年、大阪・豊中運動場)に出場した旧制中学10校の後身校のOBが19、20の両日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で「全国高等学校野球100周年記念大会」を開催する。
「戦争で失われた部の歴史を埋めたい」「第2回以降は出場できずにいる母校のユニホームで甲子園に立ちたい」--。聖地を目指して白球を追った元球児が、それぞれの思いを胸に集う。
2008年から交流する広島国泰寺(旧広島中)と宇治山田(旧三重四中=通称・山田中)のOBが開催を企画。他の8校のOBを探し出して勧誘し、実現にこぎ着けた。100年前の初戦のカード計5試合を1試合90分で戦う。各チーム50人前後がベンチ入りの予定で、「打席は1人1回」など対戦チーム同士が合意したルールで実施する。
広島国泰寺の野球部は1889年創部で広島県内では最も歴史があるが、1945年8月6日の原爆でそれ以前の資料を全て失った。その後、第1回大会の初戦で敗れた旧鳥取中の後身である鳥取西の球史をたどって部史の一部を掘り起こした。大会実行委員長を務める広島国泰寺OBの山本将司さん(50)は「宝物を見つけたように感動した。もっと他校から母校の歴史を教わりたい」と語る。
桐蔭(旧和歌山中)のOBで出場予定中最年長の奥野順一郎さん(76)は「生きていたら真っ先に出ると手を挙げていたやろな」と、2年前に亡くなった同期を思いやる。元同校監督の河野允生さん。部を25年間率い、86年夏には62年春以来の甲子園出場を果たした。
今大会で監督を務めるのは河野さんの教え子だった住本悦也さん(50)。現役部員も観戦する予定で、住本さんは「年齢を重ねても、和中・桐蔭伝統の『全力疾走』で試合に臨む」。OB会長の山下幸男さん(59)も「野球の根っこにある楽しさを後輩たちに伝えたい」と張り切る。
秋田(旧秋田中)は最多の65人がベンチ入り予定。OB会事務局長の小西康光さん(54)は「定員50人と聞いたがメンバーを絞り切れず、全員を登録した。ベンチ入りできてよかった」と喜ぶ。第1回大会では下馬評を覆しての準優勝。「出場するからには、絶対勝ちたい」と意気込んでいる。【道岡美波】
◇全国高等学校野球100周年記念大会組み合わせ◇
<19日>
午前10時
▽広島中(広島国泰寺)-鳥取中(鳥取西)
午後1時10分
▽山田中(宇治山田)-秋田中(秋田)
<20日>
午前8時40分
▽京都二中(鳥羽)-高松中(高松)
午前11時半
▽久留米商(久留米商)-和歌山中(桐蔭)
午後1時45分
▽神戸二中(兵庫)-早稲田実(早稲田実)