働けない若者が急増中
今年、イギリスが国民投票の上、EU離脱を決めた。
世界を驚かせた離脱の背景には、イギリスの持つ悩みの深さがあった。
それは、若者の失業率が21.0%(2012年)と極めて高いことだ。
自分の国で仕事がないのに、シリアなどからの難民を受け入れる余裕など到底ない。
「困っている難民を助ける前に、俺に仕事や金をくれ」という若者が離脱に動いた。
日本には「ニート」や「引きこもり」など、自ら職に就かない(就けない)若者の数が多いイメージがあるが、ヨーロッパと比べると、日本の若者失業率はかなり低い。
どうしてヨーロッパでは働けない若者が増えているのか?
ヨーロッパで路頭にさまよう若者が増えている
欧州統計局Eurostatによると、EU圏内で550万人もの15~24歳の若者が職に就いていない。割合にすると22%、つまり5人に1人超の若者が失業中だ。
15~24歳の失業率が、ギリシャ55.3%(世界2位)スペイン53.2%(世界5位)イタリア35.3%(世界17位)フランス23.8%、スウェーデン23.7%。
失業率が高いアフリカや東ヨーロッパ(旧ユーゴスラビア)に交じって、ヨーロッパ各国が上位を占めている。
一方日本はというと、若者失業率はおよそ7・9%(2012年)。就職氷河期という言葉も耳にするが、実はヨーロッパと比べると、日本では若者が職に就ける確率は高い。
ヨーロッパ全体の失業率を見ると、他の年齢層と比べ、やはり若者の失業率が高い。
例えば、スウェーデンやイタリア、イギリスでは、若者失業率が25歳以上の失業率のおよそ4倍!この差が最も小さいドイツでも若者の失業率は25歳以上の1.6倍。他の世代に比べて働けない若者が増えている。
ドイツで若者失業率が低い理由
ドイツの若者失業率は7.8%でヨーロッパで最も低い。ドイツでは、少子高齢化が進み、若者の数が減っているので“失業率”が下がっている。後継者探しに奮闘している企業も少なくない。
この点、アイルランドやイギリス、ベルギー、フランス、スペイン、スウェーデンなどの国では、むしろ若者の数は2060年ごろまで増加し続けるという予測があり、必然的に失業率も高くなってしまう。
2015年に導入されるまで最低賃金制度がなかったことも、ドイツで若者の失業率が低い理由の一つだ。若者はまだ仕事の経験も浅く、その分給料も少なくて済めば、企業にとっても若者を雇いやすい。
時給8.5ユーロ(約900円)という最低賃金の導入がどのような影響をもたらすのかはこれから明らかになっていくはずだ。
若者が夢を持てる国づくりをしないとダメだ。戦争のない国、就職口があり、安定した収入が望める国を構築するよう、国々の指導者に望みたい。