Quantcast
Channel: 悠々美術館通信
Viewing all articles
Browse latest Browse all 7813

「ヴィジョン・その2」

$
0
0
「ヴィジョン・その2」
わたしの父親は、わたしが高校3年生のときに交通事故で他界した。ちょうど、衆議院議員総選挙の最中で、企業ぐるみで選挙活動をしていたようだった。
 
父の葬儀に、和歌山の片田舎であるにもかかわらず、自民党の大物議員が弔問に来てくれた。そして、「書生として東京の自宅に引き取って、大学進学の面倒をみる」といってくれた。
 
しかし、突然の父の死に絶望していたわたしは、そのとき就職することしか頭になく、丁重にお断りした。
 
けれども、あのころは、独自に奨学金制度を設けて学費の面倒を見ようとする資産家や「書生」として引き取って大学に通わせてやろうという政治家が存在していて、家庭に恵まれない学生にもチャンスはあった。
そういった貧しい学生を救う制度が、だんだん廃れてきているのではないか。
 
わたしが、政治に期待するのは、格差社会が進行する日本で、親の事情で進学を断念しなければならない高校生を救う新たな制度の構築だ。
 
年収600万円以下という条件を設定し、貧しい家庭の高校生が大学に進学できるような制度を創設してもらいたい。
 
家庭に恵まれず貧しい暮らしのなかで耐えてきた学生のほうが、苦境に立つ日本を救う可能性が大きいかもしれない。
授業料無料の国立大学を造れば、そこからナポレオン2世、秋山兄弟2世のような人材が生まれるかもしれない。
 
政府の子育て支援は近視眼的であり、このような長期的なヴィジョンに欠けているような気がする。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 7813

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>