巨人移籍・山口俊の人的補償でDeNAが若手投手・平良を指名
腕一本で生きるプロ野球の世界でも、いざとなれば学歴がモノをいう。FA移籍に伴う人的補償の対象外28選手を選ぶプロテクトリストにも、学閥の力学は働いている。
巨人はFAで獲得した山口俊投手(29)の人的補償として、横浜DeNAから平良拳太郎投手(21)が指名されたと発表。都内で報道陣に対応した平良は「去年初めて(1軍で)登板して、今年はやってやろうという気持ちが強かった」と沈痛な面持ちで語った。
沖縄県立北山高からドラフト5位で入団3年目の昨季、4月7日の阪神戦に先発し1軍デビュー。オフはプエルトリコのウィンターリーグに派遣された。帰国後25%増750万円で契約更改。「低めの動く球はゴロアウトが取れると感じた。向こうの投手コーチに教えてもらったチェンジアップが、いいなと思うところがあった」と武者修行の成果に手応えを得ていた。
それからわずか10日後。新春の希望に胸膨らませる21歳の若者に、無情の宣告が待っていた。プロテクトリスト掲載の28人から外れたのは、期待度だけでは優先順位を決められないから。有望選手を次々とプロに送り込む名門校や強豪チームのOBを人的補償で流出させたとなれば、今後のドラフトに悪影響を及ぼしかねない。馬原を人的補償でオリックスにさらわれ、母校の九州共立大との関係が断絶したソフトバンクの例もある。
こうした球界の学閥の力学に従えば、沖縄の人口1万人未満の村にある無名校出身の平良の優先順位はどうしても低くなる。実は巨人は2013年オフにも、プエルトリコに派遣直後の期待株を人的補償で失っている。FA加入の大竹寛に代わり広島へ移籍した一岡だ。沖データコンピュータ教育学院出身という変わり種ゆえにプロテクト漏れしたが、昨季は広島の優勝に貢献した。