「やまびこ打線」といわれ甲子園を席捲した徳島代表池田高校。四国山地にある過疎地域の高校だ。
池田高校を甲子園優勝に導いた蔦監督の教えを聞いたことがある。
蔦監督は、池田高校野球部に新入部員が入ってくると、必ず、春のグラウンドで一列に並べて草取りをさせた。新入部員たちは監督の目を気にしながら小さな草を引きつつ前へ進んでいく。
その作業を背後から見ていると、部員の背中に、その子がどのような家庭で育てられたか分かるという。草取りは大勢でしながらも、結局は個々の作業である。
各自が一人になって、草取りするのである。几帳面でありながらも手早い子。周囲の様子をちらちら横目に見ながら草取りに専念できない子。隣としゃべって周囲の雰囲気を乱す子。結局一人では何も手のつかない子。実にさまざまなのだそうである。これは結局、「独りになってどう生きるか」にかかわってくるのだと、おっしゃっていた。
それが、甲子園での選手起用や采配にも反映し、優勝できたのだろう。