人間、生きるも死ぬも、しょせん独りぼっち。
独りでいるときの自分をどう造るかが大事になってくる。
人との付き合い、仕事をし、学習し、食事をし、遊ぶ。その総計が人生なのだが、その中に「独り」の時の自分が全部出てしまうのだ。
同じ野球でも、プロ野球選手ともなれば、独りでいるときの生活態度がそっくりそのままグラウンドに現れてしまう。巨人の王選手が、まだ現役で4番打者だったころ、部屋の畳を年に3回張替をしなければならなかったそうだ。
試合が終わって帰宅すると、すぐに風呂場へは行かず、自分の部屋で素振りを何百回と繰り返し、納得できるスイングをとらえるまで止めなかった。そのため、畳が擦り切れてボロボロになったという。
これはまさに「慎独」の世界であり、王選手に与えられた国民栄誉賞は「慎独」への贈り物といえる。
現在の世の中では「独り」になる機会が、極端に少なくなっている。一人でいても、テレビがあったり、スマホがあったり、ゲームがあったりして「独りぼっち」の感覚を誤魔化してくれる。
「慎独」の大切さを理解して、自分自身が独りの時間をつくって、「自己を見つめなおす」ことを重視したい。