東京には、蕎麦屋が多い。昼時には、蕎麦屋に客が押し寄せ大人気である。
東京でそばが愛される理由は・・・・
日本では平安時代以降、京都の皇族や貴族など上層階級を中心に脚気が発生している。江戸時代の江戸では、精米された白米を食べる習慣が広まり、将軍をはじめとした上層武士に脚気患者が多かった。将軍徳川家定(江戸幕府13代将軍、1858年、32歳で没)は脚気が原因で死亡したといわれている。
脚気は、元禄年間に一般の武士にも発生し、やがて地方に広がり、また文化・文政に町人にも大流行し、「江戸患い(えどわずらい)」と呼ばれた。領地では貧しく白米を食することのできなかった地方武士も、参勤交代で江戸勤番では体面上白米を主食としたため、江戸在住期間が長引くと脚気に罹る例が多かった。経験的に米にかえて蕎麦(ビタミンB1を含む)を食べると、快復に向かうことが分かっていたため、漢方医学では療法として用いられていた。
江戸時代中期以降、江戸で蕎麦が流行した。江戸でうどんよりも蕎麦が主流となった背景には、「江戸わずらい」と呼ばれた脚気を、ビタミンB1を多く含む蕎麦を食べることで防止できたことにもよる。
この事実が、今も東京で「蕎麦好き」として、息づいている。