「トウモロコシ」
トウモロコシのふるさとは南北アメリカ大陸だ。
紀元前5000年ごろまでには大規模に栽培されるようになり、キャッサバを主食としていたアマゾン川流域を除いては、アメリカ大陸において主食となっていた。
南アメリカのアンデス山脈地域でもトウモロコシは重要であり、インカ帝国では階段状の農地を建設しトウモロコシの大量栽培をおこなっていた。
1492年、クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を発見したとき、サンサルバドル島の先住民が栽培していたトウモロコシを持ち帰ったことでヨーロッパに伝わった。
ほぼ即座に栽培が始まり、50年以内に地中海沿岸一帯に広がり、100年以内にはイギリスや東ヨーロッパにも広がってヨーロッパ全土に栽培が拡大した。
ヨーロッパにおいては当初は貧困層の食料として受け入れられ、それまでの穀物に比べて圧倒的に高い収穫率は「17世紀の危機」を迎えて増大していた人口と食糧難の緩和に貢献した。
また、大航海時代を迎えたヨーロッパ諸国の貿易船によってトウモロコシは世界中にまたたくまに広がり、16世紀の間にアフリカやアジアに広がり、アジア東端の日本には1579年に到達している。
日本にトウモロコシを伝えたのはポルトガル人であり、本格的に栽培されるようになったのは、明治初期にアメリカから北海道にスイートコーン、デントコーンが導入されてからである。