輝くサウスポー
'10年の興南には島袋洋奨(ソフトバンク)、'13年の浦和学院には小島和哉(早稲田大)、'14年優勝校の龍谷大平安には高橋奎二(ヤクルト3位)。
'10年以降の優勝校の主力3投手は左腕である。
今年のセンバツ代表校には、左腕に好投手が多い。
関東勢では、鈴木昭汰(常総学院)、高橋昂也(花咲徳栄)、早川隆久(木更津総合)が代表格で、ストレートの最速は鈴木と早川が142、3キロ、高橋が145キロなので“超”の字がつくほど速くはない。
その代わり鈴木は縦変化のスライダー、高橋は縦スライダーとチェンジアップ、早川は横変化のスライダーに持ち味があり、3人とも緩急や左右の出し入れで打者を翻弄する技巧も備えている。
去年の和歌山国体で高橋昂也(花咲徳栄)を見たが、2年生として完成度が高かった。あの時点で、プロ入りした秋田商業のサウスポー成田(ロッテ3位)よリ上だと思った。
大阪桐蔭の高山優希も昨年の秋口までは“好投手”タイプだった。それが11月の明治神宮大会、高松商戦で140キロ前後だったストレートがたびたび140キロ台後半から150キロを計測し、一躍、寺島成輝(履正社)と並ぶ左腕のドラフト1位候補になった。
カーブを交えた緩急、スライダーとシンカーを駆使した左右の揺さぶりなど技巧色の強かった高山がイメージをシフトした。
右腕では明治神宮大会の準優勝校、敦賀気比の山崎颯一郎と中国大会の覇者、創志学園の高田萌生が双璧。この両者は明治神宮大会2回戦で対戦している。
山崎が被安打4、失点1の完投で、失点5の高田を退けた。
山崎は188cmの長身から投げ下ろすストレートと、縦変化のカーブ、フォークボールを織り交ぜた高低の攻めが見事だった。
高田は謳い文句だった「最速150キロのストレート」が143キロに減速した分、怖さがなかった。出どころの一定しない腕の振りや外角主体だった配球もひと冬越してどう変化したのか、実はセンバツを見る最大の楽しみである。