「北海油田」
1960年、北海でイギリスが油田開発に乗り出し、やがて、北海油田の採掘が軌道に乗り、石油の安定供給が可能となった。
現在、北海油田(North Sea oil)は150の海底油田・ガス田を有し、イギリスをはじめノルウェー、デンマーク、ドイツ、オランダが採掘している。
北海油田の大半はイギリスとノルウェーの経済水域にある。
北海油田の推定埋蔵量は130億バレル。日産600万バレル。
イギリスは1980年代から北海油田によって石油輸入国から輸出国に転じた。また、出光興産をはじめ日本の企業も採掘に投資している。
第二次世界大戦後、とりわけ、1973年の石油危機後に本格的に開発され、大量の石油を必要とするヨーロッパに位置しているためその価値は極めて高いが、北海油田には二つの問題点が含まれている。
第一は、イギリスとノルウェーを挟む海域であるため、ノルウェーがヨーロッパにおける政治的、経済的発言権を有するイギリスに対し過度の警戒心を抱き、EUに加盟することを拒否している。
ノルウェーは1994年,国民投票が行われ、EU加盟は否決された。経済的繁栄を享受している中、EU加盟により得られる利益に懐疑的な国民世論、EU加盟することにより自国産業に悪影響が出るのではという懸念があるためだ。
世論は、EU加盟賛成30%,反対70%で推移している。北海油田の存在が、ヨーロッパの団結を阻害した一例だ。
第二は、イギリスの鉱区では、2020年代に入ると資源の枯渇が進み、やがて石油が出なくなることが確実視されていること。
陸上と異なり、海上ではプラットフォームの解体に巨額の費用を要するため、その費用捻出にも課題が残っている。