神の鳥
1855年、日米和親条約が結ばれた翌年に日本にやってきたドイツ商人は、日本の鳥が人を怖がらないことに驚く。「鴨がボートのすぐそばまで来たり、雀が人家に入る。こうしたことは、狩猟の禁止に原因があるらしい。鳥獣を撃つことは厳重に禁止されている。」
その日本で、今も、野生の鳥なのに人を恐れないことで知られるのが雷鳥である。
外国の雷鳥は人影を見ればすぐ逃げる。外国では、雷鳥は身近な狩猟の対象となってきたからだ。
これに対し、日本の山岳信仰では雷鳥は「神の鳥」とあがめられてきた。雷鳥が人を恐れないのは、長きにわたって奥山を神の領域と見なし、奥山に住む雷鳥を「神の鳥」とした日本文化の産物ともいえる。
しかし、「神の鳥」も、明治時代には乱獲にあい、現在は特別天然記念物として保護されるに至っている。
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