熊本城崩れる
熊本県益城町(ましきまち)で最大震度7を観測した熊本地震で、これまでに41人が死亡し、ケガ人は少なくとも800人以上にのぼっている。
また、南阿蘇村では阿蘇大橋が崩落したほか、「地獄温泉」にある温泉施設で一時50人が孤立した。
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気象庁は今回の地震を「平成28年熊本地震」と命名した。熊本のシンボルとされ難攻不落といわれた熊本城は、周辺を囲む国重要文化財の長塀が100mにわたり崩れ、しゃちほこが落下するなど大きな被害を受けた。
熊本随一の観光名所、熊本城の無残な姿に目を疑った。石垣の崩落は、お堀の横だけではなく、天守閣に向かう通路が土砂で完全に閉ざされていた。
熊本城は大阪城、名古屋城と並ぶ日本三名城。周囲5.3㎞、面積98万平方mと広大な城郭を誇り、上に行くほど反り返る「武者返し」と呼ばれる石垣の構造から、難攻不落とされる。関ケ原の戦い後、築城の名手である加藤清正が7年の歳月をかけて1607年に完成させた。1877年に起きた西南戦争で、西郷隆盛率いる薩摩軍が政府軍の拠点となった熊本城を攻めた時も、薩摩軍は熊本城を落とせなかった。
こうした誉れ高い歴史から、一般公開が中止されているにもかかわらず、城郭の周りには、城の無事を願う熊本県民の姿が多数あった。同県山鹿市で生まれ、福岡県に移住して約30年になるという福島章さん(60)は勤務先で半休を取ってまで来訪。崩れた石垣を見上げて「涙が出てくる」と絞り出した。天守閣は屋根瓦が四方にわたって崩れ、しゃちほこが落下。「熊本市民、県民にとってのシンボルですから…。悲しいです」と声を詰まらせた。
画像は、地震によって瓦が落ちてしまった熊本城