西洋では嫉妬心は緑色をしているらしい。英語のgreen eyedには「緑色の眼をした」のほかに「嫉妬深い」という意味がある。
そういえば、「シンデレラ」に描かれている意地悪なお姉さんも一人は頬が怒りで赤く燃え、もう一人は頬が嫉妬で緑色に染まっていたのを思い出す。
アメリカのドル紙幣は裏面が緑色で「green back」とも呼ばれる。収入や財産をめぐって嫉妬心が生まれやすいことを紙幣の色が暗示しているのかどうか。
他人のものはよく見える、ということのたとえを「隣の芝は青い」というが、これはイギリスの格言を日本語訳したもので、ねたむ心は緑色となるようだ。
金銭であれ、住居であれ果ては「緑の黒髪」に至るまで、浮世に嫉妬の種は尽きない。
シェイクスピアの「オセロ」で、策略家のイアーゴの妻エミリアは「理由があって嫉妬するわけではありません。嫉妬するから嫉妬するだけのこと。あれは、みずからを母として生まれてくる怪物なのです」
嫉妬するものは、たいてい能力に乏しい。
心のうちに暴走しかねない嫉妬にブレーキをかける自制心が必要だ。