「雨にも負けず」の詩は宮澤賢治(1896~1933)の死後、遺品のトランクに収められていた小さな手帳の中から見つかった。詩歌の作品というよりは、賢治の生活信条を書き留めていたというべきだろう。
東日本大震災の後、テレビなどで「雨にも負けず」を耳にする機会が多くなった。
宮澤賢治は東北の人であり、「雨にも負けず」を通じて、被災者を励まそうと意図するものであろう。
「雨に負け 風にも負けつつ 生きている 柔らかき草 ひとを座らす」
これは、詩人・伊藤一彦の作品だが、雨を受けてはうなだれ、風を受けては地に伏す草。
敗者とも呼べるその草が、人に憩いの場を提供してくれる。勝つことだけが人生ではないと教えているかのように。