27日(日本時間28日)のフィリーズ戦で出場機会がなかったマーリンズのイチロー(42)。後半戦に入って初めてベンチを温め続け、メジャー通算3000安打まで残り「3」のまま。
そんな中、メジャーのトレード期限の8月1日(同8月2日)が迫り、プレーオフをにらんだ球団の動きが全米各地で活発化。先日はヤンキースのストッパー、チャップマンがカブスに移籍して話題になったばかりだが、狙われているのは170㎞左腕に限らない。東海岸の代理人関係者によれば「マーリンズにはイチローをトレードで譲渡して欲しいという申し込みが殺到している」という。
「中でも熱心なのはオリオールズとドジャース。オリオールズは機動力が使えるトップバッターが不在で、4番タイプのアダム・ジョーンズが1番を打つこともあるほど。ドジャースは1番打者に加え、守備範囲の広い外野手が手薄。ともにプレーオフに備え、トレードによって弱点を補強したい」
イチローは現在、「4人目の外野手」。スタントン(26)、イエリッチ(24)、オズナ(25)と、攻守に優れた外野手3人のバックアップはもちろん、代打、代走、守備要員としても必要不可欠な存在だ。マーリンズにしてもプレーオフ進出がかかっているだけに、やすやすと放出するとは思えないが、驚くべきは42歳のベテラン外野手を譲渡して欲しいという球団が引きも切らない点だ。
■「年齢の壁」ではくくれない“規格外”の選手
メジャーの野手には日本のプロ野球界とは比較にならないほど高い「年齢の壁」が存在する。どれだけ本塁打を量産しようが、35歳前後を境に見事なくらいパタッと需要がなくなる。
それはイチローの契約にも反映されている。例えば年齢にして34~38歳までのシーズンの年俸は17億円だったが、39~40歳のシーズンは6.5億円にダウン。41歳で迎えた昨年は2億円、今年も同額だ。しかも昨年、オファーしたのはマーリンズ1球団だった。
それが今季は7月27日現在、85試合に出場して打率.332、12打点、9盗塁。先発出場したと思ったら、翌日から代打が続くといった不規則な起用にもかかわらず、結果を残している。イチローは険しくて高いメジャーの「年齢の壁」を突き破った。
メジャー16年目にして、過去に大きなケガをしたり、長く戦列を離れたりした経験がないという点も「特異」。イチローが「年齢の壁」ではくくれない「規格外」だとすれば、42歳にしてもモテモテなのも納得か。