「トマト」
1519年、エルナン・コルテスがメキシコからヨーロッパにトマトを持ち帰った。トマトは有毒植物であるベラドンナに似ていたため、毒であると信じる人も多く、最初は観賞用とされていた。
トマトが、食用としてヨーロッパに広まったのは200年後のことである。
アメリカでは、その後もしばらくは食用としては認知されなかった。
1793年、当時、アメリカは輸入の際、果物には関税がかからず、野菜には関税が課せられていた。このため、トマトの輸入業者は、税金がかからないようにと「果物」と主張。これに対して農務省の役人は「野菜」だと言い張った。両者は一歩も譲らず、さらに果物派には植物学者も加わり、論争はエスカレート。1893年にアメリカ最高裁判所が判決を言い渡し、判決は「野菜」。
判決文には「トマトはキュウリやカボチャと同じように野菜畑で育てられている野菜である。また、食事中に出されるが、デザートにはならない」とある。
日本には江戸時代に長崎へ伝わった。ただ、青臭く、また真っ赤な色が敬遠され、当時は観賞用で「唐柿」と呼ばれていた。
日本で食用として利用されるようになったのは明治以降で、さらに日本人の味覚にあった品種の育成が盛んになったのは昭和に入ってからである。
トマトはアメリカで最初に認可を受けた遺伝子組み換え作物である。
1994年5月、FDA(連邦食品医薬品局)が承認した。遺伝子組み換えトマトは、長期間の保存に適した品種であった。ただし、開発費用などを回収するために通常のトマトよりも高い価格に設定されたため、商業的にはそれほどの成功を収めなかった。
私は7月から、ほぼ毎日トマトを食べている。その理由は、トマトの栄養成分を評価していることと、何より調理が切るだけと簡単なことだ。