旅に結ぶ夢
現代の旅は快適ですが、昔はそうはいかなかった。
家にあれば 笥(け)に盛る飯(いひ)を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る
「万葉集」有間皇子
(家にいたなら器に盛るご飯を 旅先なので椎の葉に盛って食べる)
旅先では、草を結んで枕にしたことから、「草枕」は、旅を意味する言葉になった。この和歌では、旅を意味する枕詞に使われている。
旅を楽しむことができるようになったのは、暮らしが豊かになっていた証といえる。
それでも、草枕と言いう言葉には、旅愁をそそられる。
草の枕で見る夢は、普段忘れているものを、反対に目覚めさせてくれるのかもしれない。
有間皇子(ありまのみこ・640年~658年11月11日)は、飛鳥時代、孝徳天皇の皇子。天皇への謀反計画が発覚し、海南市藤白坂で処刑された。死罪を決めたのは中大兄皇子。
この和歌は、囚われの身となって、飛鳥から紀伊に送られる途中に詠んだものだ。
藤白坂に行くと、うっそうとした林の中にあり、さわやかな気分に包まれる。一番のおすすめは初夏です。