和歌山大会2回戦 桐蔭2-0紀北工
春夏計36度の全国大会出場を誇る古豪・桐蔭が、今夏初戦(2回戦)でシード校の紀北工を2-0で破った。エースの右腕・稲谷颯人(3年)が4安打完封、打っても決勝点の口火となる左翼フェンス直撃の一打など3安打を放った。
要所で、得意とするスライダーなど変化球がコーナーに決まった。「相手がストレート狙いだと分かっていたので、変化球を多めに投げた」
スライダーは智弁和歌山出身でWBC日本代表メンバーの岡田俊哉(中日)の投法を間接的に受け継いだキレを誇る。投手となった小学生時代、父親が開く整骨院に通う智弁和歌山の選手に「岡田はこうやって投げている」と教わった。「普通にボールを切るのではなく、真っすぐと同じように腕を振るんです」。高速で鋭い変化が生まれた。
7回無死一、二塁のピンチでは伝令のタイムが解けた直後、連続けん制で二塁走者を刺し、ピンチの芽を摘んだ。「週に2、3度練習してきた。本番でばっちりのタイミングで刺せました」
2年生で登板した昨年夏は1回戦で和歌山東に序盤から大量失点してKO降板となった。悔しさを胸に走り込んだ。食事量も増やし、体重は10キロ増の73キロとなり「ボールに重みが出た」。
2015年センバツに21世紀枠として甲子園出場。当時は入学直前だった稲谷は甲子園のスタンドで観戦し「格好良かった。僕たちも先輩の後に続きたい」と夢を抱く。
伊藤将監督は「不調でも修正する能力がある。今年は稲谷のチームと言っても過言ではない。次までに打線の状態を上げて臨みたい」と先を見ていた。