今年のドラフト候補に挙げられる大阪桐蔭のエース・高山優希への注目度は、今大会NO1と言ってもいい。
左腕の存在が一気に知れ渡ったのは、昨年11月の明治神宮大会準決勝・高松商戦。試合には負けたものの、自己最速を5キロ更新する150キロをマーク。「チームの流れを変えたい気持ちで、いつも以上の力が出た」と振り返る高山に、西谷浩一監督(46)も「まだ未完成。だからこそ、これから良くなるのでは」と大きな可能性を感じている。
2012年に春夏連覇を成し遂げたOBの藤浪晋太郎(阪神)は、センバツで史上最速タイとなる153キロを記録。中学2年生だった当時、甲子園で藤浪のピッチングに魅了され大阪桐蔭への進学を志した。
“先輩超え”へ、周囲の期待は高まるが、「MAXを更新するよりも、今は球速のアベレージをできる限り150キロに近づけていきたい」と控えめ。頭の中を占めているのは、4年ぶりのセンバツV、その先にある2度目の春夏連覇だからだ。
試合中は涼しげな表情で投げ込む姿が印象的だが、胸の内には熱い気持ちを持ち合わせている。チーム全員で、12年センバツ大会の試合映像を見た時のこと。「藤浪さんは躍動感があって力強い。比べたら(自分の)レベルは低いけど、コントロールは自分の方がいいかなと思います」と言い切った。同じ背番号1を背負う者としての誇り、責任感が支えになっている。
冬のテーマは一球一球の質を上げること。「とにかく強い真っすぐ」を求め、毎日のように投げ続けてきたという。大会前、指揮官から「自分の人生を変えるくらいの力を発揮してほしい」とゲキを飛ばされた。自身の運命を切り開く大一番が、始まろうとしている。(種村 亮)
◆高山 優希(たかやま・ゆうき)1998年5月17日、大阪市生まれ。17歳。小学1年から「森之宮キャッスル」で野球を始める。城陽中時代は「大阪東ボーイズ」に所属し、3年時にNOMOジャパンでアメリカ遠征を経験。高校では1年秋からベンチ入り。50m走6秒6。遠投105m。180㎝、73kg。血液型O。左投左打。