「違憲立法審査権」
日本は法治国家であり、その法律を作る機関は国会である。憲法では、国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である」と規定されている。
しかし、司法には国会の作った法律が憲法に違反しないかどうか審査する違憲立法審査権がある。
2013年9月4日、最高裁判所で民法の規定が憲法に違反するという判断がなされた。
今回、最高裁判所が違憲であると判決を下したのは遺産相続の際、結婚していない男女の間に生まれた子(婚外子)の取り分を、結婚した男女の子(婚内子)の半分とする民法の規定についてである。
最高裁大法廷はこれを、「法の下の平等を定めた憲法に違反しており、無効」との判断を示した。
最高裁が法律を違憲と判断するのは、歴史上9例目。社会や家族の根本を定めた民法が対象となったのは今回が初めてとなる。
問題の規定は「婚外子の相続分は婚内子の半分」とする、民法900条4号ただし書き。
1995年、大法廷が「婚内子の立場を尊重するとともに、婚外子を保護するもので、合理的な理由のない差別とはいえない」と合憲判断を示していた。
この規定は1898(明治31)年施行の明治民法に盛り込まれ、戦後の現行民法にも引き継がれて、115年間続いてきた。
この訴えを起こした和歌山県在住の女性は「本当の平等な社会を強く望んでいます」とコメントし、遺産相続分を嫡出子の半分とした民法の規定の不当性を強調し、見直しを何度も訴えてきた。「権利が2分の1、命の価値が2分の1と言われているような思いで今まで過ごしてきた」と振り返った。
女性は「(最高裁の判断が)ここで変わらなかったらどうなるんだろうという不安もあった」と心境を打ち明けた。
代理人の弁論などを聴いて「もしかしたら変わるかも」と再び希望を持ったという。
女性は「最後だからと思って出廷したが、来て良かった。相手側の考えも知ることができた」とほっとした表情を浮かべ、
「子どもは全て平等。正しい判断を日本全国に、世界に向けてしてもらいたい」と話した。