蛍狩り
生命の軌跡
「もの思へば 沢の蛍も わが身より あくがれ出ずる 魂かとぞみる」和泉式部
蛍は「火垂(ほたり)」「火照(ほてり)」の変化だといわれています。
淡い黄緑の光が、闇の中を点滅しながら舞い飛ぶ風景は、いかにも幻想的で、和泉式部が自分の魂が抜けだして、さまよっているのかと思ったのもうなずけます。
蛍は美しい川でしか育つことができない。蛍狩りができる場所も少なくなった。
一生の大部分を水の中で過ごし、成虫になれば、わずか数日の命だといわれる蛍。
その間、水以外、何も摂らずに光り続ける。
闇の中に、ひたすら、自分たちの生命の軌跡を描こうかとするように。